Ai zoom nikkor 35-70mm F 3.5

 Nikon F2 photomic ASを手に入れてから50mmだけで撮影するなか、ある日リサイクルショップを覗いたら大柄なレンズが目についた。Ai zoom Nikkor 35-70mm F3.5とある。最短撮影距離は1mと遠いけどシャープな写りで評判の1970年代のプロズームだ。ジャンク扱いで3000円程度。ちょっと汚れている。でもまあ、様子を見てみようと言うことで、ショーケースから出してもらう。ピントリングはスカスカでちょっとバックラッシュがあるけど、光学系は綺麗。無限遠も出てそうなので購入。

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Ai zoom nikkor 35-70mm F3.5

 なにせ1977年発売の古レンズなのでだいぶ汚れている。歯ブラシでゴムリングの溝を丁寧擦り、カニ爪付近のホコリを無水アルコールと綿棒で丁寧に清掃したら、まずまずの外観になった。ズームリングとピントリングのゴム形状が違うので最初機のものではなさそう。たしかカメラ雑誌の診断室で、ゴムローレットのパターンが一緒でリングの区別がしにくいとのコメントが付いていたのを覚えている。ピントリング先端部の幅広の部分にちょっと擦り傷がついてるけど、被せ式フードをつけたら隠れそう。一通り外観チェックを行った後で、気になったのはピントリングのスカスカ感。古いニッコールレンズはこの症状が多いと聞く。グリスアップをしてみようと言うことで、Amazonで写真の柔らかめのグリスを購入しレンズ分解を開始。このサイトnikkor35_70mmを参考にすれば分解は簡単。しかし組み上げはなかなかしんどかった。まずネジに遊びがなく正確に導入しないと噛み合わなくて一苦労。さらにピントリングとズームリングに共通に接続されるリングがあって、ここを適当にねじ込むとズーム範囲が35-70mmにならず途中でストップしてしまう。ただでさえねじ込みが難しい上、ズーム範囲の調整で付けたり外したりを何度か繰り返すうち疲労困憊してしまった。2〜3時間奮闘しているうちにねじ込みも慣れてきて、やっと所望の位置で取り付けを完了し組み上げが完了。しかし、グリスを盛りすぎたせいかピント操作が重い。遠くなった気を取り直してもう一度分解し、グリス量を減らして再度組み直してやっと修理が完了した。

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 ピントリングもいい感じになり、ヤフオクで専用フードを入手し実戦投入。シャープで歪曲も少なく端正な写りをする。さすが当時のプロズーム。すこし気に入らない点は倍率色収差が残っている点。安物ズームよりもずっと良いけどね。最短撮影距離が1mなのは承知で買ったのでOK。今まで古いズームレンズは敬遠してきたけど、どうしてなかなかの性能。鏡筒の作りにも高級感があって特に絞りリングはAi-Sレンズよりずっと良い。Nikonの意欲を感じる一本でした。