さらにDP-1ファインダをゲット。分解清掃と磨耗対策の確認

 Nikon F2用のDP-1ファインダを買った話を以前書いたけど、先日部品取り用にもう一つファインダをゲットした。外観も綺麗だし、製造番号は55万台でおそらく磨耗対策品の上、4,000円くらいと安かったのでヤフオクでゲットした。持っているものは指針メータが非対称の改良型だったけど、今度のは対称型の古いタイプ。

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 こちらの方が±の表示範囲が広くて良いけど、なんらかの理由があって非対称型に変更になったのだろう。調べてみると帯電で針が表示端に張り付くとのこと。確かに露出アンダー状態で針が右端に一旦接触すると表示中央への針の戻りが悪い。絞りリングやシャッター速度ダイヤルを回す際のクリック振動で、針の右端への貼り付から解除されるから実用上は問題ない。今回も運が良かったのは露出計表示がDP-12と一致していること。明所、暗所共に誤差は1/3段もない。

 ただ、指針表示部がなんだか曇っていたので、ファインダーを分解して表示導入用ミラーとメーター部をアルコール清掃した。ミラーは結構汚れていて一部腐食もあったけど、清掃することでかなりクリアになった。ただ表示部下に見える白いゴミはメーター内なので取りきれなかった。表示の邪魔にはなっていないので良しとしましょう。これ以上の深追いは危険と判断。分解ついでに摺動リングの確認を行ったところ、ブラシが接触するリングの内側は筋状の金色電極処理が施されていて磨耗対策済みであることが確認できた。フォトミックファインダーのシャッターダイヤル結合部裏側には赤点があり、指針メータはCOPAL製であった。ネット情報では、赤点はCOPAL、緑点はNSKとのことだったがこれも確認できた。

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 ということは、既に持っていたDP-1は赤点付きなのでメータはCOPAL製と思われる。以前持っていたphotomic Aファインダ(DP-11)も赤点付きだったので、やはりCOPAL製だったのだろう。

 いずれにしろ、今回入手したDP-1は磨耗対策済みで、露出計も正確なので安心して使えそう。外観も綺麗だし安い買い物だったと思う。

F32に注意あそばせ

 マニュアルニッコールレンズに蟹爪と呼ばれる絞り連動ピンが付いているのはみなさんご存知の通り。これがないとニッコールレンズの気分がしない人も多数いるくらい大事なパーツ。しかし蟹爪が役割を果たすのはAi化以前のカメラシステムで、F2で言えばフォトミック、フォトミックS、フォトミックSBファインダーを装着した形態のみ。蟹爪がファインダーの連動ピンと結合することで、レンズの絞り値がファインダーに伝わり露出評価に使われる。通常、蟹爪と連動ピンの結合はレンズ装着の際にレンズを回すか、レンズ装着後絞りリングを回すかすることで簡単に行えるし、蟹爪の連動ピンからの取り外しもレンズ脱着時に自動的に行なえる。

 下の写真は最小絞り値がF22のレンズ(Ai nikkor 105mm F2.5)のレンズ取り外し時の蟹爪の様子を示している。銀色のリングを持ちながらレンズを右回り約1/5回転することでレンズ着脱位置になるが、連動ピンが戻そうとするため絞り位置は大概最小絞りとなる。

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 このレンズの場合最小絞り値はF22なので、下の写真のように絞り位置はF22となっていることがわかる。上の写真のように蟹爪は完全にフォトミックファインダーの外に出ているので、レンズをボディから外すにあたり特に問題は生じない。また逆に、絞り値をF22にした状態でレンズをボディに装着しようとしても蟹爪がファインダに干渉することはないので、この場合も問題ない。

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 問題が生じるのはF32の絞り値を持ったレンズの場合。下の写真は最小絞り値がF32のレンズ(New nikkor 200mm F4 の純正Ai化レンズ)のレンズ着脱位置状態。蟹爪がファインダの外に出ておらず、この状態でレンズを取り外そうとすると爪がファインダに干渉し、爪やファインダにダメージを与える可能性がある。また逆に、レンズの絞り値をF32とした状態でレンズを取り付けようとすると、この場合にも爪とファインダの干渉が生じる。

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 下の写真はレンズ着脱位置の絞りリング様子。レンズを右周りに回すと連動ピンが絞りリングを引き戻そうとするため最小絞り値F32の状態になっている。

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 この状態での取り外しは危険なので、絞りリングをF22以下まで戻して蟹爪をファインダから露出させた状態で取り外しを行う。下の写真はF32→F22まで絞りリングを回した状態。これであれば問題なく取り外せる。

 

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 手持ちの爪付きレンズでF32があるのは上記レンズのみ。しかし、ここを見ると最小絞り値が32以上のレンズは他にも結構ある。大事なフォトミックファインダーやレンズに傷をつけないよう、F32のレンズには注意あそばせ(笑)

 

フォトミックファインダー(DP-1)ゲット&修理しました

入手したF2フォトミックASは、ワンタッチ(死語?)でレンズ交換ができる最新型で(とは言っても45年も前の話)とても便利なんだけど、Ai化以前のファインダが使いたくなってきた。この動画を見ると蟹爪のファインダ連動ピンへの結合音が実にいい感じ。そこで、手頃な耐摩耗対策済みDP-1を物色しヤフオクにて5,780円で落札。

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DP-1を装着したNikon F2

 届いたDP-1は比較的綺麗だったけど2つ気に入らない点があった。一つ目は銘板のわずかな凹み。写真は修正済みなのでわからないけれど、NikonのNの左側スペースにわずかな凹みがあった。2つ目はファインダー内のシャッター速度表示の傾き。

 1つ目の凹みについては、車の凹み修理と同様、銘板を外して裏から叩き出すこととした。メラミン樹脂コートされた木の板がよいとのことなので、机の上にて竹箸を切断した棒を銘板の裏側に当てながら金槌で叩いた。銘板自体は両サイドの2つのネジを外すことで取り出せるが、DP-1の場合、銘板の下が蟹爪連動ピンに干渉するので、ピンをうまく避けながら外さなければいけない。上の写真のように銘板の凹みはまずわからなくなった

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 2つめの問題はシャッタ速度表示の傾き。下の写真でわかるように、シャッター速度表示(1/8秒)が左傾斜し「8」の下端が切られている。機能的には全く問題がないけれど、どうにも気になる。

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 色々調べているうちに"learn Camera Repair"なるページがあり、DP-1、DP-11のシャッター速度表示ズレ調整方法のドキュメントををついに見つけた。ファインダを分解することなく調整が可能である点が素晴らしい。調整中に調整ネジからドライバを離すと修復不可能になるリスクがあるものの、この点のみ十分注意して行えば調整は簡単。下の写真のように傾斜は解消できた。

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とまあ、満足のゆく修理ができた。

 ラッキーだったのは、露出計が正確で、明所から暗所まで手持ちのDP-12(フォトミックASファインダ)と同じ露出値を示していること。蟹爪遊びのつもりで買ったが十分に使える。当たりをひく可能性もあるので、念の為に摩耗対策済みと思われる後期モデルを選んだのも良かった。多少の擦り傷はあるものの外装も綺麗で角部の塗装剥がれなどもない。DP-12との比較では、直読式でなく採光式表示が装備されているので絞り値が見やすいのが良い。

 肝心の蟹爪との連動だけど確かにこれは楽しい。意味もなくレンズをつけたり外したりしたくなるのもわかる。

  1. レンズをマウントに装着しレンズ固定ピンがレンズ側に入った時の「チャッ」
  2. 絞りリングを小絞り側に動かし、蟹爪連動ピンが上に押し上げられ標準位置まで戻った時の「ガチッ」
  3. さらに絞りリングを回して、蟹爪連動ピンが蟹爪溝に入った時の「チャッ」
  4. レンズを解放絞り側に回した時の開放F値表示機構のラチェット音「チチチチ」

こりゃ、たまりませんね(笑)

フラッシュガン BC-7

 以前F2を持っていた時からずっと気になる存在があった。それは写真のフラッシュガンです。ストロボがあれば別に必要ないんだけど、何とも言えないその佇まいが魅力的。カメラを使い始めた高校生の頃、すでにストロボがあったので使ったこともなかったし、一度手にしてみたかった。

 入手したのはFマーク入りのF時代のもの。写真では問題なく装着しているように見えるけど、実はフォトミックASファインダー(DP-12)のEEコントロールユニット結合部と若干干渉する。フォトミックファインダー(DP-1)なら問題なし。なかなかカッコイイ。緑の箱はフラッシュバルブのパッケージ。色温度調整のためランプは元々水色で着色されていたようけど、経年劣化でただの透明になっている。プリントゴッコのランプのように、ガラス球の中に金属フィラメントが詰め込まれている

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BC-7

 とは言え、何せ古いものなので実際使えるものなのだろうか?ヤフオクを見ると、フラッシュガンやフラッシュバルブ(発光球)は手に入る。でもフラッシュガン用の積層電池が製造中止されて久しい。これじゃ使えない。。。。。。。と、諦めかけていたところ、有楽町のダイヤモンドカメラさんに置いてある模様。

 早速手に入れてみた。写真左側の黒い物体が積層電池で、これを白い円筒形のアダプタに入れ、写真右のフラッシュガン裏側の電池室にセットする。積層電池自体はボタン電池を10個直列にして一体化したもの(アダプタ込みで1,000円位だったと思う)。

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 F2で使う場合はFP級のフラッシュバルブが必要。M級などはレンズシャッター用なので使えない。また、ここにあるように、F2の場合X接点(1/80sec)と1/60secは使えず、1/125以上か1/30以下にする必要があることに注意。

 フラッシュガンは2,000円でメルカリから購入。フラッシュガンの傘は下の写真のように折りたためてコンパクトになり、黒い合皮のケースに収納できる。傘は上下に首振り可能で、傘を開いた時に固定する位置を2箇所選べ、それにより照射角を変更できる。赤いボタンは「サーキットテストボタン」と言って、フラッシュバルブをつけない状態でこのボタンを押しながらカメラのシャッターを切ったとき、フラッシュガン裏側のパイロットランプ(上の写真の電池室上にあります)が光れば、電気的導通はOKがとのこと。本番前のチェック用でしょう。

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 ストロボの瞬間光と違う長時間発光(FP発光)にもかかわらず、1/125secでガイドナンバーが23(iso100)もあるのでかなり眩しい。ビックリした。一度発光させるとフラッシュバルブは使えなくなるので交換となるが、その際に本体上部のスイッチを押すとバネの力でフラッシュバルブが勢いよく飛び出す。発光後はバルブが熱くなっているので、交換時に火傷をしないようにとの配慮かと思うが、飛び出す様が何とも可愛らしい。

 フラッシュバルブは1個200円くらいするので滅多には使えないけれど、イベント時に皆のウケ狙いも兼ねて披露してみよう

Ai zoom nikkor 35-70mm F3.5S

 しばらくサボっちゃったな。あれから色々買ってるんですけど、まずはAi zoom Nikkor 35-70mm F3. 5から紹介します。

 前回と同じレンズじゃないかって?前回がAiバージョンで今回がAi-sバージョン。レンズ構成が変更されてます。 

  • 最短撮影距離:1 → 0.6m (70mm時にマクロ機能で0.35m)
  • ズームリングの回転方向変更
  • フィルタ径:72 → 62mm
  • ピントリング回転角変更

 2,860円だったので少々傷があるけど、フード付きでレンズも綺麗だし良しとします。ズームリングが70mmのときだけ、ピントリング下にある▼のスイッチを下に動かすと、マクロモードに入ることができて、ピントリングを0.35mmまで回すことができます。画質はここにあるようにとても良いです。Ai バージョンよりも広角域での周辺部画質が良くなった感じ。歪曲も少なく各焦点域で安定した画質が得られます。

 Aiバージョンはどうするかって?。。。。。。。。防湿庫の中で待機かな。

 では、また。 

 

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Ai zoom nikkor 35-70mm F 3.5

 Nikon F2 photomic ASを手に入れてから50mmだけで撮影するなか、ある日リサイクルショップを覗いたら大柄なレンズが目についた。Ai zoom Nikkor 35-70mm F3.5とある。最短撮影距離は1mと遠いけどシャープな写りで評判の1970年代のプロズームだ。ジャンク扱いで3000円程度。ちょっと汚れている。でもまあ、様子を見てみようと言うことで、ショーケースから出してもらう。ピントリングはスカスカでちょっとバックラッシュがあるけど、光学系は綺麗。無限遠も出てそうなので購入。

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Ai zoom nikkor 35-70mm F3.5

 なにせ1977年発売の古レンズなのでだいぶ汚れている。歯ブラシでゴムリングの溝を丁寧擦り、カニ爪付近のホコリを無水アルコールと綿棒で丁寧に清掃したら、まずまずの外観になった。ズームリングとピントリングのゴム形状が違うので最初機のものではなさそう。たしかカメラ雑誌の診断室で、ゴムローレットのパターンが一緒でリングの区別がしにくいとのコメントが付いていたのを覚えている。ピントリング先端部の幅広の部分にちょっと擦り傷がついてるけど、被せ式フードをつけたら隠れそう。一通り外観チェックを行った後で、気になったのはピントリングのスカスカ感。古いニッコールレンズはこの症状が多いと聞く。グリスアップをしてみようと言うことで、Amazonで写真の柔らかめのグリスを購入しレンズ分解を開始。このサイトnikkor35_70mmを参考にすれば分解は簡単。しかし組み上げはなかなかしんどかった。まずネジに遊びがなく正確に導入しないと噛み合わなくて一苦労。さらにピントリングとズームリングに共通に接続されるリングがあって、ここを適当にねじ込むとズーム範囲が35-70mmにならず途中でストップしてしまう。ただでさえねじ込みが難しい上、ズーム範囲の調整で付けたり外したりを何度か繰り返すうち疲労困憊してしまった。2〜3時間奮闘しているうちにねじ込みも慣れてきて、やっと所望の位置で取り付けを完了し組み上げが完了。しかし、グリスを盛りすぎたせいかピント操作が重い。遠くなった気を取り直してもう一度分解し、グリス量を減らして再度組み直してやっと修理が完了した。

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 ピントリングもいい感じになり、ヤフオクで専用フードを入手し実戦投入。シャープで歪曲も少なく端正な写りをする。さすが当時のプロズーム。すこし気に入らない点は倍率色収差が残っている点。安物ズームよりもずっと良いけどね。最短撮影距離が1mなのは承知で買ったのでOK。今まで古いズームレンズは敬遠してきたけど、どうしてなかなかの性能。鏡筒の作りにも高級感があって特に絞りリングはAi-Sレンズよりずっと良い。Nikonの意欲を感じる一本でした。

撮影の準備

 先日入手したNIkon F2 フォトミック ASだけど、安心して撮影できるようにカメラケースで保護することとした。実はヤフオクでカメラを購入した時セミソフトケース(CF-1)が付属していたんだけど、だいぶ劣化して汚らしくなっていたので別のものをあたることとした。それで入手したのがこのハードケース(CH-1)。セミソフトケースと違い艶があってより高級感がある。また、ストラップ取り付けリングが装備されているので、カメラ側にストラップを取り付ける必要がない。写真の状態ではリングに何やら赤い部品が接続されているが、これはピークデザイン社のアンカーリンクスというもので、カメラストラップを簡単に着脱できる優れもの。ちなみにカメラストラップもピークデザイン社の「スライド」という幅広のものを使っている。ちょっと高価なのが難点だが、しっかりとしたものでストラップ長も簡単に変更でき、F2+ズームレンズを装着しても肩が痛くならないので助かっている。

 

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 カメラケースは2つのパーツに分かれていて、下ケースを常時カメラに取り付けた状態で使っている。上ケースはファインダや、レンズも保護したい時のみに使用。

 ストラップはこんな感じで簡単に装着できる。ストラップを外して防湿庫にしまえるので便利。本当によくできている。

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